あつまれ未来のアーキテクト!初心者大歓迎! 〜夏のデータプラットフォームよろず相談〜 ・ 2026

「AIが育った」の正体

生成AIに文脈を与える3つの経路と、
データプラットフォームの役割

平塚 武Takeshi Hiratsuka / リバネスナレッジ株式会社 取締役副社長

話し手についてSpeaker

平塚 武 リバネスナレッジ株式会社 取締役副社長

平塚 武

Data & AI Advisor and Salesforce Architect

国内外のカンファレンスで年間20回以上登壇(米国のSalesforce関連イベントを含む)
Salesforce の Data Platform 関連コミュニティで、国内外を問わず活動中
専門領域: Salesforce Data 360・Tableau・Slack・Snowflake

X: @marreta27_jp / marreta27.me

今日話すことAgenda

「AIが育った」を、
自分の言葉で説明できるようになる30分

「育った」の正体育っているのは、本当にAI?
文脈を与える3つの経路メモリ/スキル/データパイプライン
土台になるデータ基盤Salesforce Platformでの How「Data 360」

初心者の方に向けて、専門用語はその都度かみくだいて進めます。

業務の現場でよく聞く声Field Voices

「うちのAI、育ってきたね」

最近、言わなくても分かってくれるんだよ営業チーム
前より的確な答えが返ってくる気がする企画チーム
AIが、うちの会社のことを覚えてきた情報システム

この感覚は、間違いではない。でも、正確でもない

しかしBut

生成AIは、使い続けるだけで
勝手に賢くなるわけではない

利用期間 体感の「賢さ」 モデルのパラメータ(中身)= 固定 会話した内容から、モデルが自動で 再学習することはない(=勝手には学ばない)

モデルの中身は固定のまま。──では、何が変わったのか?

本日の問いThe Question

「AIが育った」とは、
何を意味しているのか。

結論Answer

育つのは、モデルではない。

モデル (固定) 周辺のシステム 文脈を渡すしくみ(メモリ・スキル・データ) 使う人間 指示し、検証し、任せどころを判断する力 組み込む組織 AI前提に組み直された業務プロセス

育つのは、モデルの周辺。──今日はこのうち「文脈を渡すしくみ」に絞ります。

前提のはなしKnowledge Cutoff

モデルには、「知識の締め切り日」がある

生成AIモデル 重み(知識)は固定 カットオフ ── 知識の締め切り日 ここまでの世界は、学習済み ここから先を、モデルは知らない 昨日の商談メモ 今朝の問い合わせ 今週の新ルール もうひとつの壁 ── 公開されていない社内のデータは、期間にかかわらず、そもそも学習されていない。

「今」と「社内」は、外から渡すしかない ── それが、3つの経路。

「成長」を分解するThree Paths

AIに文脈を渡す、3つの経路

① メモリ 過去のやり取り・利用者の情報 ② スキル/プロンプト 手順・判断基準の再利用 ③ データパイプライン 企業データを整えてAIへ届ける 個人の文脈 タスクの文脈 企業の文脈 生成AIモデル (固定) その企業に 有用な回答

モデルが同じでも、渡す文脈で回答は変わる。

経路 ①Memory
個人の文脈

メモリ ── 「あなた」を引き継ぐ

呼び方・文体の好み 進行中の案件/過去の決定事項 過去のやり取り 引き継ぐ 生成AI (固定) 「このあいだの件、続きやろう」 あなた 「先週のA社向け提案ですね。  見積の見直しまで進んでいました」 AI(メモリあり)

「先週の続きから」が通じる。──専属の相棒のように感じる理由。

経路 ②Skills & Prompts
タスクの文脈

スキル/プロンプト ── 「やり方」を引き継ぐ

スキル: 議事録の要約 手順 1 決定事項を先に書く 手順 2 宿題は担当者+期限つき 手順 3 300字以内・敬体で 判断基準: 迷ったら決定事項を優先 何度でも再利用 今日の定例会議 → 同じ品質 ✓ 明日の顧客会議 → 同じ品質 ✓ 隣のチームでも → 同じ品質 ✓

効いた指示を一回きりにしない。やり方を再利用できる資産にする。

経路 ③Data Pipelines
企業の文脈

データパイプライン ── AIへ文脈を届ける

データパイプライン ── 集める・整える・届ける企業データ顧客・商談・問い合わせ整備・更新統合・品質確認・更新検索・取得質問と権限に合う情報生成AI必要な情報を文脈にQ「主力製品の返品率、直近3か月でどう変わった?」必要な実データを取得 → その情報を根拠に回答

最新の企業データを集め、整え、必要な情報をAIへ届ける。

届いた情報を回答の根拠にすることがグラウンディング。ここでは、データ整備からAIが必要な情報を取得するまでを一つの経路として扱います。

整理Recap

モデルは、固定された「増幅器」

整った文脈を入れると モデル 業務に効く回答(大きく・きれいに) 乱れた入力を入れると モデル ← 同じ増幅器 ノイズも大きくなって出てくる

賢くなったのはモデルではなく、入力の質と運用。──これが「AIが育った」の正体。

では、どこから育てる?Where to Start

土台になるのは、企業データを届ける仕組み

メモリ 個人の文脈 効果がその人ごとに閉じる
スキル/プロンプト タスクの文脈 効果がそのタスクごとに閉じる
データパイプライン 企業の文脈 整えた企業データを全社で繰り返し使える

個人とタスクの文脈も、正しい企業データの上でこそ活きる。

だから後半は、企業データを集め、整え、届ける仕組みを支える「データプラットフォーム」の話です。

価値の出し方Gartner's 3 Business Cases

生成AIの価値には、3つの「出し方」がある

本命 Defend Extend Upend 守る 広げる 覆す 日々の業務の生産性を高め、競争力を維持する 既存の業務プロセスを強化し、他社との差別化をつくる 新しい製品・市場を生み、業界の構造を変える リターンは、従業員への還元 リターンは、投資対効果 リターンは、未来への回収 短期の財務リターンが最も確実に出やすいのは、Extend ── Gartner はそう整理する 出典: Gartner, The 3 Business Cases of Generative AI Value(Nate Suda, Hung LeHong / 2025年1月6日)

本命の Extend は、「既存業務 × 自社データ」。── 土台の質が、そのまま価値の質になる。

ただし、現実はReality

企業のデータは、1か所にない

Salesforceの中だけでも、様々なシステムが

Sales CloudService Cloud Marketing CloudCommerce Cloud TableauSlack MuleSoftAgentforce …ほか多数

社内システム全体では(エンタープライズ企業の平均)

957アプリケーション
27%── つながっているのは、平均でこれだけ

データは、生まれた場所ごとにバラバラのまま溜まっていく。

出典: Salesforce / MuleSoft「2026 Connectivity Benchmark Report」(世界のITリーダー1,050名への調査)

Salesforce Platform での HowData 360

Data 360 ── 散らばったデータを、
統合して使うための基盤

散らばったデータ CRM(顧客・商談) 基幹システム Web行動ログ メール配信 外部DWHなど Data 360 Salesforceのデータプラットフォーム (旧称: Data Cloud) 集める 取り込み つなげて整える 統合・ID解決(名寄せ) 届ける 各システムへ再配布 分析・可視化 マーケ配信 AI・エージェント

バラバラのデータを、ひとつの事実として扱えるようにする。

設計思想ELT, not ETL

「先に変換」ではなく、「まず全部」

従来の ETL E 抽出 元システムから T 変換(先に) 用途を決めて絞り込む L 格納 絞った分だけ 用途A だけ Data 360 の ELT E 抽出 元システムから L まず全部入れる そのままの形で Data 360 へ T 使うときに変換 用途に合わせて、その都度 用途A 用途B 用途C… 変換しながら各システムへ「アクティベート」

E・Lでまず持ってくる。変換(T)しながら、必要なシステムへ再配布していく。

全体像Data Hub

Data 360 は、データの「ハブ」になる

Data 360 データのハブ Sales Cloud 顧客・商談 Service Cloud 問い合わせ・サポート Marketing Cloud パーソナライズ配信 基幹・外部DWH Snowflake などとも連携 Tableau 分析・可視化 Agentforce 生成AIのグラウンディング

あるシステムのデータが、他のすべてのシステムで活きる。

3つの経路、ふたたびBack to Data Pipelines

信頼できる企業データを、AIへ届ける

企業データ顧客・商談・履歴Data 360統合・整備・更新検索・取得質問・権限に応じて生成AI根拠を文脈にQ「A社への提案、次の一手は?」A「先週の問い合わせ2件の解消を確認してから、追加提案を」取得した企業データを根拠に回答する = グラウンディング

信頼できるデータをAIへ届ける経路を、データプラットフォームが支える。

むすびにClosing

「AIを育てる」とは、
データと運用を育てること。

育つのはモデルではなく、貴社のデータ資産と、それを使いこなす力。
その土台に、データプラットフォームを。

ありがとうございましたThank You

このあとの「よろず相談」で、
自社データのお悩みもぜひ。

平塚 武(Takeshi Hiratsuka)/ リバネスナレッジ株式会社 取締役副社長

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